aguidepost’s blog

みちしるべ

金融・保険業界のイノベーションについて

「優良企業が失敗する要因」

・顧客に耳を傾ける

・求められたものを提供する技術に積極的に投資する

・利益率の向上をめざす

・小さな市場より大きな市場を目指す

以上4点であると、「イノベーションのジレンマ」の著者 

「クレイトン・クリステンセン」は述べている。

 

まさしく、日本の『金融・保険業界』はこの状況であった。

 

最近でこそ、ようやく重い腰をあげて新たな事業へチャレンジする企業が増えており、

企業の選択肢としては、画期的なイノベーションに対応する為に、

①持続的なイノベーションのみ開発を継続する。

②主流事業の組織を変革する。

③独立した組織を持つ。

という戦略をとっている。

 

①に関しては収益低下が予測されて、コスト削減の為に事業規模の縮小が考えられる

 企業の名前くらいは次世代に残せるかもしれない。

 

②に関しては、主流組織の『価値基準」と「文化を変える」という試練が待ち受けており、かなりのエネルギーが必要である。

既存の組織を新たな組織に対応させるのは、相撲取りを長距離ランナーにするくらいの改革が必要となる。

それだけ企業にしみ込んだ「プロセス」「価値基準」「文化」は容易には変えられない。

特に銀行では、人事面において主流部門での成果を誰しもが重要視する為、最も適さないといっても過言ではないくらい②の方法は危険である。

それにも関わらず、この方法に貴重な経営資源を投入して数年おきに起業、廃業を繰り返して従業員を疲弊させている企業もあるのが現実である。

また、独立組織のつもりで起業するものの、主流組織の人材を登用したり、主流組織からの関与をうけてしまう為、新しいイノベーションを生み出すまえに解散してしまうケースもある。

 

③に関しては、最近の保険業界で進んできている。グループ会社を設立したり、全く関係のない事業で独立組織を起こしている。

 

多くの金融機関では、今後起こりうるイノベーションとして、 

フィンテックという金融とテクノロジーの融合というものを予想しているのにも関わらず、内部の「プロセス」「価値基準」「文化」を変える事が出来ていない。

他の企業との協業であった場合でも、まったくと言って機能していない。

それは、新しい組織に主流組織の流儀を求めてしまうからである事に他ならない。

 

保険業界では大手生保はグループ化によって独立組織化はできており、一定の成果は出ているものの、保険代理店の方が多数の商品を取り扱える為、価格競争には強い傾向があったり、IT企業の方が情報の整理とマーケティングが有利である為、

縮小を余技なくされるか、画期的な技術により信頼される商品を開発する事と市場を作り出す力を行使する事で更に力を蓄えていくかの二択である。

これから、数年後の金融業界、保険業界がどのような状況になっているのかが楽しみで仕方がない。そして数年先でも画期的な技術を駆使したリーダー的企業の上位3社が今ある既存の企業であった場合には、日本でのこの業界は既得権益によって改革がまともに実行されておらず、顧客の信頼を得られていない状況であると実感するのであろう。

 

ただ、確実なのは金融、保険業界で働く人数は減少していく。という事だ。